ヒノキについて About Hinoki

ヒノキの歴史

ヒノキは裸子植物の一種で、その進化の歴史は約2億年前までさかのぼります。恐竜が地上で繁栄していた時代は、ヒノキが最も栄えていた時期でもありました。

しかし、約6,500万年前の恐竜絶滅とともに気候が大きく変化し、ヒノキの分布は徐々に縮小していきます。現在、世界に残るヒノキ属の植物はわずか7種で、主に北米、日本、そして台湾に分布しています。

台湾には「台湾扁柏」と「紅檜」の2種が自生しており、亜熱帯地域で唯一のヒノキの原産地となっています。また台湾には、約2万ヘクタールに及ぶ世界最大級の原生ヒノキ林が広がっています。

写真は、日本最大の木製鳥居として知られる明治神宮の鳥居です。高さ12メートル、幅17メートル、柱の直径は1.2メートル、重さは13トンにもなり、この鳥居には、樹齢約1,500年の台湾ヒノキが使用されたと言われています。

明治神宮の鳥居

アメリカに分布するヒノキの種類

アラスカヒノキ

アラスカヒノキ
(Alaska Yellow-Cedar)

学名
Chamaecyparis nootkatensis
分布
北米の太平洋沿岸地域に分布し、アラスカからオレゴン州にかけて見られます。主に標高1,000〜2,100メートルの山岳地帯に生育しています。
ローソンヒノキ

ローソンヒノキ
(Lawson Cypress)

学名
Chamaecyparis lawsoniana
別名
アメリカヒノキ、ローソンヒノキ
分布
アメリカのカリフォルニア州北西部からオレゴン州北西部の太平洋沿岸に分布しています。標高1,500〜2,000メートルの山地に多く、丘陵地や渓谷、地形の起伏がある湿地帯などに生育します。
アトランティックホワイトシダー

アトランティックホワイトシダー
(Atlantic White-Cedar)

学名
Chamaecyparis thyoides
別名
大西洋ホワイトシダー
分布
アメリカ東部に広く分布し、主に平地に生育します。沼地や湿地など、水分の多い環境でよく見られます。

日本に分布するヒノキの種類

サワラ

サワラ(Sawara False Cypress)

学名
Chamaecyparis pisifera
分布
日本の本州中部以南から九州北部にかけて分布しています。主に標高300〜2,600メートルの山岳地帯に生育し、木曽山脈や中央山地などの地域で見られます。
ヒノキ

ヒノキ(Hinoki False Cypress)

学名
Chamaecyparis obtusa
分布
日本の本州中部以南の山地に広く分布し、標高80〜2,500メートルの地域に生育します。四国や九州、屋久島などでも見られ、木曽地方や高野山、高知県などが代表的な生育地として知られています。

台湾に分布するヒノキの種類

台湾扁柏

台湾扁柏(Taiwan Yellow Cypress)

学名
Chamaecyparis obtusa var. formosana
別名
黄檜、厚殻、Hinoki
分布
台湾中央山脈北部では標高1,500〜2,600メートル、南部では2,400〜2,500メートル付近に分布しています。主に山の斜面や、中央山脈の尾根付近の比較的平坦な場所に生育します。
台湾紅檜

台湾紅檜(Taiwan Red Cypress)

学名
Chamaecyparis obtusa
別名
紅檜、薄殻、松羅、Benihi
分布
台湾中央山脈北部では標高900〜2,500メートル、南部では2,200〜2,500メートル付近に分布しています。山の中腹から下部の斜面や、谷状の地形、比較的平坦な場所に多く見られます。

台湾紅檜と台湾扁柏の見分け方

台湾ヒノキには主に「台湾扁柏」と「台湾紅檜」の2種類があり、それぞれに特徴があります。

台湾扁柏

台湾扁柏は樹皮が厚く、深い裂け目があることから「厚殻」とも呼ばれます。幹はまっすぐに伸び、樹形は円錐形で、枝は幹から直角に広がる力強い姿をしています。葉の先端は鋭く、球果は楕円形です。

新竹・桃園・宜蘭の境界に位置する棲蘭山には、世界最大の台湾扁柏の天然林が残っています。台湾扁柏は台湾の木材の中でも特に優れた材として知られ、木目が通直で均一、質感は細かく光沢があります。香りを持つ木材で、軽く弾力があり、耐腐性や耐シロアリ性にも優れています。

また乾燥による収縮が非常に少なく、変形しにくい特徴があります。加工もしやすく、切削や研磨を行うと滑らかな表面に仕上がり、塗装すると美しい光沢が現れます。

台湾紅檜

台湾紅檜は樹皮が比較的薄く、裂け目が浅く剥がれやすいことから「薄皮」と呼ばれることがあります。葉の先端は丸みがあり、球果は丸い形をしています。樹形は縦長の楕円形で、枝は柔らかくしなやかな印象を持ちます。

台湾紅檜は標高約1,200〜2,800メートルの山地に生育し、大きな群落を形成したり、台湾扁柏と混生することもあります。木材の外観は台湾扁柏に似ていますが、紅檜はやや赤みを帯びた色合いを持っています。

加工特性は台湾扁柏とよく似ていますが、耐湿性や耐シロアリ性はより高いとされています。一方で紅檜は腐朽菌の影響を受けやすく、幹の内部が空洞になることがあります。そのため台湾の巨大なヒノキの多くは内部が空洞になっており、特に紅檜の巨木に多く見られます。

台湾ヒノキに触れる様子

豊かな降雨と高湿度の環境

台湾は降雨量が多く湿度の高い気候のため、ヒノキに含まれる油脂分が豊富です。
そのため木目が美しく、香りの成分を多く含む木材へと育ちます。

豊かな降雨と高湿度の環境

台湾は降雨量が多く湿度の高い気候のため、ヒノキに含まれる油脂分が豊富です。
そのため木目が美しく、香りの成分を多く含む木材へと育ちます。

長い樹齢とゆっくりとした成長

成長速度が遅く樹齢が長いため、木材の密度が高くなります。
その結果、世界のヒノキ属の中でも特に優れた品質を持つ木材とされています。

高い標高の山岳環境

台湾ヒノキは主に標高1,500〜2,500mの山岳地帯に生育しています。
厳しい自然環境の中でゆっくりと成長することで、木材の品質が高まります。

優れた自然耐性

台湾農業委員会の研究によると、防腐処理を行わない状態でも高い耐久性を持ちます。
台湾ヒノキは90%以上の自然防カビ率を持つことが確認されています。

安定した木材特性

台湾ヒノキは収縮率が非常に安定しており、水に浸しても変形しにくい木材です。
伸縮による狂いが少なく、ひび割れしにくい木材として知られています。

天然成分の豊富さ

台湾ヒノキにはロディニン酸(Rhodinic acid)やフィトンチッドなどの天然成分が含まれています。特にヒノキチオールは、空気の浄化や消臭などの特性がある成分として知られています。

ヒノキチオールの研究者

ヒノキチオールとは?

1936年、野副鉄男博士は台湾ヒノキの研究の中で、日本や北米のヒノキには見られない特別な成分を発見しました。この成分は「ヒノキチオール(Hinokitiol)」と名付けられました。

ヒノキチオールは、台湾ヒノキが長い年月をかけて成長する過程で生まれる天然成分です。千年以上の歳月と、高山の霧や湿度、温度変化といった自然環境の影響を受けることで、樹木自身を守るための天然の化学物質として形成されます。

台湾ヒノキには、ヒノキチオールのほかにもロジン酸(Rhodinic acid)やフィトンチッドなどの天然成分が含まれています。これらは天然の抗菌作用を持つ成分として知られており、心身をリフレッシュさせる働きがあるとされています。

また、ヒノキチオールの含有量はヒノキの樹齢と関係しており、樹齢が高いほど多く含まれるとされています。つまり、古い台湾ヒノキほど豊富なヒノキチオールを含んでいると言われています。